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TEACCH留学便り・・・Vol.1
皆様、こんにちは。心理セラピストの黒田美保です。現在、私はYPDCをお休みさせていただいて、ノースカロライナ大学TEACCH部に留学させていただいています。留学期間は来年の8月までの予定です。これから、時々、留学便りを送らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
現在、TEACCH部には9つのセンターがありますが、私は、東の端にあるWilmingtonTEACCHCenterで研修をしています。Wilmingtonについて少しご紹介すると、ここは大西洋に面した人口10万人ほどの市です。約260年前に市となり、かつては、綿花の輸出で栄え、一時はノースカロライナ州の州都でした。現在、ダウンタウンの中にそうした面影を残す場所が保存され、ヒストリックエリアと呼ばれ観光名所となっています(写真)。
Wilmingtonのもう一つの特徴は、ノースカロライナ大学ウィルミントン校があることです。街の中心部にあり、緑豊かな大きなキャンパスに赤煉瓦の校舎やホール、図書館などが並んでいます。この大学では、自閉症スペクトラムをもつ学生さんも何人か学んでいます。
さて、センターですが、ニューハノーバーメディカルセンターという大きな病院を中心とした医療関係の多い地域に位置しています。茶色のちょっと地味な建物で指導室が二つと決して大きな建物ではありません(写真)。
9月末に始まり、ちょうど1ヶ月を過ぎたところです。今までに診断やペアレント・ティーチング・セッションとこちらで呼ばれている個別指導、成人のソーシャルクラブ、教育関係者向けの研修会などに参加しました。
診断の様子ですが、YPDCと同じで1日かけて診断をしています。ここでは、セラピスト2人とディレクター(センター長)がチームになってクライエントをみます。セラピストが1人ずつクライエント担当、親担当となります。ディレクターは、総括的な立場で診断に関わり、親御さんへの最初のイントロダクション(診断の流れやTEACCHの組織の簡単な説明)と午後の診断結果と療育方針を伝えます。診断の流れは、YPDCとほぼ同じで、朝9時からディレクターと担当セラピスト2名とのケースの打ち合わせが始まります。その後、親御さんへの聞き取り、ご本人へのテストや面接が行われ、昼食後、3時くらいから診断結果と今後の方針を伝えます。昼休みは、ディレクターとセラピストの診断やお伝えする情報などについてディスカッションがずっと続きます。
次にペアレント・ティーチング・セッションとこちらで呼ばれている個別指導のセッションの様子をお話ししたいと思います。ここでは、名前の通り、親御さんに基本的な構造化と、それをどう自分のお子さんに応用していくかを学んでいただくことを目的としています。このセッションでも、直接お子さんを指導するセラピストと親御さんに指導中の構造化などについて説明する親担当のセラピストがいます。始めに担当セラピスト2人と親御さんのミーティングがあり、その後2〜3回の個別指導が行われます。その後、親御さんへのアドバイスの時間がもう一度あります。指導回数は少ないのですが、各セッションで担当者が親御さんといっしょにマジックミラー越しに指導中のお子さんの様子を見ながら、構造化や課題の目的・内容を説明したり親御さんと意見交換をしたりしているのは、とても良い方法だと思いました。ここでは、新しいスキルを習得させることではなく、日常生活をどう構造化するかということに重点がおかれているようです。
成人のソーシャルクラブ:月に一度サパークラブ(夕食会)といわれる会をもっています。ソーシャルクラブのメンバーが集まって夕食をいただいたり、ゲームをしたりする会です。メンバーは10名以上いるそうですが、実際に集まるのは6、7名です。9月は親御さんもいっしょに参加されていました。公園でゲームをしたりもちよった料理を食べたりしながら歓談しました。10月のサパークラブはご本人たちだけで、ダウンタウンに出かけレストランで食事後、ハロウィンの飾り付けを見て回りました。レストランでは、テーブルで各自支払いを済ませましたが、その後も皆さんお財布から1ドル札を取り出してテーブルに置いています。「なぜ?」と私は思ったのですが、それはチップでした。チップの習慣に慣れない私はしばしばチップをだすのにまごついてしまいます。ソーシャルクラブの皆さんにスマートなチップの出し方を教えていただいた一コマでした。
研修会については、Fundamental of StructuredTeaching(構造化の基礎)及びInclusion Strategies for Students with High-FunctioningAutism/Asperger's Syndrome(高機能自閉症・アスペルガー症候群をもつ生徒のための統合教育方略)研修の二つに参加しました。
Wilmington Centerでは、主にWilmington及び周辺部の教育関係者を対象(教師、スクールカウンセラー、パラエデュケーターと呼ばれる担任の手伝いをする先生)に、毎年研修会を開いています。もちろん、他からの参加もでき、遠くカルフォルニアから参加している教師の方もいました。どちらの研修会もTEACCHのめざすもの、構造化の考え方のなどについての講義は共通ですが、Fundamentalof Structured Teachingの研修会では、3,4人のグループにわかれて架空の事例についてディスカッションしながら実際にスケジュール、ワークシステム、教材を作ってみることを通して、教室内でどのように構造化をすすめるかを学びました。InclusionStrategies for Students with High-Functioning Autism/Asperger's Syndromeの研修会は、「学校での支援の様々な工夫」を学ぶことを目的としています。高機能自閉症、アスペルガー症候群をもつ生徒を担当している教育関係の方が対象で、やはり架空の事例について教室の物理的構造化やスケジュールを考えたり、他の視覚的な支援(シンキングマップ:図式化しながら考えをすすめていく方法、グラフィックオーガニゼション:考えやすいように図などにものごとを整理する方法、ソーシャルストーリー、注意を促す工夫など)の講義を受けたりしました。また、成人のアスペルガーの方や現在お子さんを学校に通わせている親御さんのお話をうかがう時間もあり、学校での構造化や視覚的な支援が大きなたすけになっていることを話しておられました。
Wilmingtonは急に寒くなり、秋を飛び越して冬になったようです。これから、地域の学校のHFA(高機能自閉症)クラス、子どものソーシャルグループの活動などに参加する予定です。また、ご報告させていただきます。
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