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TEACCH留学便り・・・Vol.3

皆様こんにちは。留学便りの3では、Wilmingtonセンターを少し離れTEACCHの成人施設であるCLLCとそこで行われた成人対象のワークショップの様子などをご紹介したいと思います。CLLCとは、Carolina Living and Learning Center(カロライナ生活と学習センター)の略称です。TEACCHの本部のあるチャペルヒルから30分ほどのピッツボロという街にあります。CLLCはノースカロライナ大学TEACCH部の一部門であり、成人の職業訓練や生活トレーニングのプログラムに加えて、専門家の養成やリサーチプログラムの役割も担っています。2002年に、YPDCの顧問である佐々木正美先生とグループで訪問し、その牧歌的な雰囲気にすっかり魅せられました。

■見学ツァー

留学後2005年12月に各TEACCHセンターにいる研修生や新人セラピストを対象にCLLC見学ツアーが行われ、再びCLLCを訪れましたが、その牧歌的で温かな雰囲気は変わっていませんでした。(左の写真:グループホーム、右の写真:研修センター、研修センターには専門家養成のための研修室の他、職業スキルの練習用のベットルームなどがあります)

私たちは最初に研修センターでガイダンスを受けのち、各施設の見学をしました。世界中から年間300名もの見学者があるとのことでした。多くの見学者が訪れる理由は、自閉症に特化しているということと、自閉症の成人を対象とした職業と居住を統合させたプログラムを提供しているということ、自閉症に不向きと考えられていた農業経営に成功していることなどです。いかにもアメリカという広大な敷地に(約80エーカー、32000m2)に、2つのホームがあり、各ホームに10名ずつ現在合計20名の自閉症の方が居住しながら、職業や生活のトレーニングを受けています。

CLLCでの職業トレーニングの内容は、農業だけでなく、石鹸作り、書類整理などのオフィスワーク、ハウスクリーニングなども行われています。また、トレーニングと実益を兼ねてコミュニティーの中でガーデニング、草刈、ハウスクリーニングの仕事をすることもあります。それ以外に、作った野菜や製品を近くのファーマーズマーケットで販売したりもしています。居住施設であるグループホームでは、調理、洗濯、掃除などの生活スキルのトレーニングや歯磨き、入浴などセルフケアのトレーニングをしています。職業面でも生活面でも構造化の工夫を用いながら、個人のニーズや興味にあった個別化されたプランを提供しています。一応、月曜から金曜までの9:00〜15:30が活動時間となっていますが、活動時間や休憩時間も個別化されています。また、余暇スキルの一貫として、地域の図書館、レストラン、教会などにでかけることもあります。また、各個人に対してIEPのようなプランをたてており、コミュニケーション、社会性、レジャー、職業、セルフケア、家庭内の仕事、調理などの4〜8の領域にわたるゴールを個々に設定し、毎月スタッフや家族が評価をしているそうです。

職員は3交代制で、日勤帯は通常2名の利用者に対して1名の職員がつき、夜は各ホーム2名で対応しているそうです。現在、入居者の方の年齢層は30~50歳、平均40歳くらいだそうです。したがって健康管理も重要となっています。医療ケアについては、常勤の看護士が一人いるほか、ノースカロライナ大学や他の地元医師と連携して行っています。

家族との関係については、週末に帰宅する人もいる人もいれば、電話や手紙でやりとりする人もいるなどさまざまだそうです。CLLCに家族を招待して収穫した野菜をつかった料理を楽しむパーティなども開かれるそうです。

■CLLC基礎的研修(居住、職業、コミュニティープログラム)

3月16、17日の二日間にわたってCLLCの研修センターで、成人の生活や職業を支援する上での構造化についてのワークショップがあり参加しました。参加者は作業所やグループホームの職員の方がほとんどでした。まず、CLLCのディレクター(センター長)であるReichle先生 、長くCLLCのディクター務められ現在Raleigh TEACCH センターのディレクターであるVan Bourgondien 先生、TEACCHで支援つき就労を担当されているChapman先生から、成人における生活面及び就労における構造化の工夫について説明を受けました。その後、小グループに分かれて実際にスケジュールやワークシステムを考え作るという作業を行いました。この小グループのセッションでは、実際にCLLCに入居されている方々のビデオをみせていただき、その行動を分析した後、どういった構造化をすればよいか討議し実際に作ってみるという実践的な活動でした。例えば、私たちのグループでは職業スキルの拭き掃除の場面のビデオを見せていただきましたが、机を拭く際に磨き用スプレーを何回もかけてしまう様子が写っていました。彼が2回だけスプレーして作業を続けるためにはどういった構造化が必要かということを具体的に考えていくわけです。TEACCHの研修は、単に講義を聴くだけではなく、このように実際のワークがあるものが多いです。習ったことを実際に自分達の手で作ってみるということはとても勉強になります。先にもお話したように、こうした専門家養成もCLLCのもつ大きな役割の1つです。

■医療ケアの伝え方

入居されている方は医療ケアが必要な場合もあります。そのための支援が、留学便り2でご報告したウィンターインサービスで報告されていました。医療にかかる意味、そこでの治療、また、薬の管理などを視覚的に伝えるすばらしい工夫がされていたのでご紹介したいと思います。医療機関にかかるのは誰しもあまり快適なものではありません。自閉症の方たちも同じでしょう。でも、治療前にその治療内容を知っておくことで、混乱しなくてすんだり、不安を和らげられたりできるようです。

医療ケアとしては主に、1.病院での治療2.定期受診3.服薬が挙げられます。

1.病院での治療

治療や検査、入院などの医学的処置が必要となった場合、彼らが必要としている情報を視覚的に伝えます。たとえば、入院をする場合であれば、「どこで寝るのか(病室のベッドの写真など)、いつまでいるのか」「何を食べるのか(絶飲食などの情報も)」「治療後はどうなるのか(手術後の痛みなど)」「病院には誰が付き添うか」などの情報が伝えられます。下は歯科治療について例です。このように治療内容は絵本を通して示すこともありますが、写真や絵を使って説明する場合もあります。当然ですが、こうした支援は個別化されているので、個人によって、いろいろな説明がされますが、シンプルにクリアに伝えるよう工夫されています。

2.定期受診

見通しが持てるように、スケジュールを事前に明確に伝えておきます。下の写真であれば、行く前に何をするのか(朝食を抜く)、行って何をするのか、終わったら何があるのか(大好きなハンバーグ屋さんに行く)を伝えています。より知的に高い人たちには、ソーシャルストーリーを使って受診の目的や内容を伝えることもあります。

3.服薬

服薬すべき薬についても視覚的に説明します。服薬の目的、効果、また飲む時間、回数などを伝えます。服薬の目的や効果を理解し、また、その服薬のスケジュールを知ることで、自立的に服薬できることをめざしています。下の左の写真は、リスペリドールという薬の効果を説明したものです。また、右の写真は「薬が重要だ」ということを伝ええていますが、その次のページでは、薬がご本人を“happy”にするということがハッピーフェイスのアイコンとともに書いてあります。

CLLCに入居されている方たちは、自閉症と同時に軽度から重度までの知的障害を合併している方たち(聴覚障害を合併されている方も2名)で、決して機能の高い方たちではありません。しかし、職員の方は決して「理解できない」と考えるのではなく、「どう伝えたら理解できるか」という視点で、自閉症の方たちが少しでも不安を和らげて医療にむかえるように工夫されていることに感激しました。TEACCHでは、自閉症の方やその文化をrespect(尊敬する)とよく言いますが、こうした対応にもその理念をみる気がします。フロアーから事前に治療を知らせることで、かえって怖がったりすることはないかという質問がありましたが、そうしたことを経験したことはないとのお答えでした。こうした支援が大きな効果をあげるのは、普段から構造化による支援が行われ、その支援をうけて安心して生活できているという前提があるからだと思いました。

3月末は、ノースカロライナ大学の本部のあるChapel Hillのセンターで1週間の研修を受けました。大学は春たけなわで、桜が咲き乱れていました。左がセンター、右がキャンパス内のプラネタリュームの写真です。

(CLLCの医療ケアの部分の写真は、現在Fayetteville Center留学中の田中恭子先生にご提供いただきました)

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